日本への長距離航空券は、EUの旅客権利法に基づく請求の中でも特に金額が大きくなります。日本発着の便が3時間以上遅延した場合、欠航になった場合、搭乗を拒否された場合は、1人あたり最大€600の補償を受けられる可能性があります。多くの人は請求しませんが、対象外だからではなく、手続きを知らない、または書類のやり取りが面倒だからです。
その代行を担うのが、第三者の請求代行サービスです。
EU261の対象範囲
EU規則261/2004(通称EU261)は、EUの旅客権利法の中核です。次の便の乗客に自動的に権利を与えます。
- EU域内の空港を出発するすべての便(利用する航空会社は問いません)
- EU系航空会社が運航する、EU域内の空港に到着する便
英国や欧州から日本へ向かう場合、往路はほぼ確実に対象です。日本航空やANAのようなEU外の航空会社でも、英国・EU域内の空港から出発する時点で、その便は適用範囲に入ります。
復路(日本から欧州)は、欧州系の航空会社(ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンエアー、KLM、ルフトハンザなど)を利用する場合に対象です。JALやANAで戻る場合、復路はEU261の対象外ですが、日本には独自の旅客保護ルールがあります。
注意: 英国はEU離脱後も同等の規則(UK261)を維持しており、英国の空港を出発する便に同じ保護を適用しています。英国からの旅行者の保護内容は、実質的にEU版と変わりません。
補償額
EU261は、飛行距離に応じて補償額を定額で定めています。
| 路線の距離 | 補償額 |
|---|---|
| 1,500km未満 | €250 |
| 1,500〜3,500km | €400 |
| 3,500km超 | €600 |
ロンドンから東京までは約9,400km、パリから東京までは約9,700kmです。欧州の空港から日本へ向かう便は、いずれも3,500kmの基準を大きく超えるため、対象となる遅延には1人あたり€600が適用されます。
4人家族なら、日本行きの便で1回対象の遅延があると、€2,400を請求できる可能性があります。確認する価値はあります。
請求が認められる条件
すべての遅延が補償の対象になるわけではありません。条件は次のとおりです。
- 目的地への到着遅延が3時間以上であること:予定到着時刻と実際の到着時刻の差で測ります
- 航空会社に責任があること:機材の故障、人員の問題、運航スケジュールの問題は航空会社の責任です。深刻な悪天候、航空管制のストライキ、保安上の事案といった特別な事情があれば、航空会社が免責される場合があります
- 便がEU261の適用範囲内であること(上記参照)
短い遅延で乗り継ぎ便に乗り遅れ、最終的に3時間以上遅れて到着した場合も、最終到着時刻を基準に請求できます。
台風による運航障害: 台風が日本の空港で航空機を直接足止めした場合は、特別な事情として航空会社が免責される可能性があります。ただし、他の場所から到着するはずの機材が運航上の都合で遅れたなど、前の便の影響による遅延は、天候そのものではなく航空会社の責任になることが多くあります。具体的な状況が重要で、請求代行サービスなら判断してもらえます。
連鎖する乗り継ぎの問題
日本の旅程には乗り継ぎがつきものです。ロンドンから東京への便が遅れ、東京から京都への新幹線の指定席に乗れなかった場合、その切符代の損失は別問題です(旅行保険で対応します)。一方、遅延のために国際線の乗り継ぎ便、たとえば東京からほかの目的地への便に乗り遅れ、最終目的地に3時間以上遅れて到着したなら、乗り継ぎ失敗の請求は元の遅延の請求と合算されます。
搭乗券、予約確認書、遅延についての航空会社とのやり取りは、すべて保管しておきましょう。乗り継ぎ便が同一予約であれば、請求は混乱全体を対象とします。
請求期限
UK261の請求期限は6年です。EU261は国によって異なり、フランスとドイツは3年、請求する国によって別の時効期間が適用されることもあります。目安として、請求は3年以内に行うのが無難です。
過去3年以内に対象の遅延があり、まだ請求していないなら、今からでも請求できる可能性があります。
請求代行サービスの仕組み
第三者の請求代行サービスは、通常は成功報酬制です。請求が認められた場合に補償金の一定割合を受け取り、認められなければ費用はかかりません。金銭的なリスクはありません。フライト遅延の補償を請求するから、対象かどうかを確認して請求を始められます。
一般的な流れは次のとおりです。
- フライト情報と遅延の内容を入力する
- サービスが自動的に対象かどうかを判定する
- 対象であれば、航空会社とのやり取りを代行してくれる
- 航空会社が拒否した場合は、所管の当局への申し立てや法的手続きに進む
- 請求が認められると、サービス手数料を差し引いた補償金を受け取る
ご自身の便が対象かどうかは、航空会社のウェブサイトや所管の航空当局でも確認してください。
自分で請求する場合と代行サービスを使う場合
代行サービスを使わず、航空会社に直接請求することもできます。航空会社には苦情処理の手続きがあり、回答する義務があります。利点は、手数料(通常25〜35%)を払わず、€600をそのまま受け取れることです。
欠点は、航空会社が有効な請求でもいったん却下するのが常で、多くの乗客がそれ以上争わないと分かっていることです。国の執行機関や少額訴訟まで進める覚悟があるなら、直接請求は現実的です。手間をかけたくなければ、請求代行サービスが実用的です。
日本行き長距離便の€600の区分なら、手数料30%を引いても1人あたり€420を受け取れます。書類を出すだけの手続きとしては、十分な見返りです。
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旅の準備
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